パーソナルジムアレクシー　名古屋市東区泉店代表のエイトです。

本来は2型糖尿病の治療薬として承認されているこれらの薬を、肥満やダイエット目的で処方しているクリニックも増えてきました。
しかし、健康な人が「痩せたいだけ」で気軽に使っていい薬なのでしょうか？
今回は、最新の研究データや論文を踏まえつつ、リスクと現実を整理してみます。

【マンジャロ・リベルサスとはどんな薬か？】

どちらも、腸で分泌されるホルモンGLP-1（グルカゴン様ペプチド-1）**を人工的に補う薬です。
GLP-1には、血糖値を下げるだけでなく、脳に「お腹いっぱい」というサインを送って食欲を抑える働きがあります。

実際、肥満を伴う2型糖尿病患者においては体重減少効果が確認されており、
例えば2021年にNEJM（ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン）に掲載されたセマグルチド（リベルサス含む）の臨床試験では、 平均15%程度の体重減少が報告されています。

マンジャロも同様で、従来のGLP-1作動薬に比べてさらに強力な体重減少効果があるとする臨床データもあり、 米国FDAでは2022年に2型糖尿病治療薬として承認されました。

【痩せ目的だけで使うのはどうなのか？】

確かに「食欲が減るから痩せる」という点は、糖尿病患者以外にとっても魅力に映るでしょう。
しかし、そもそも健康な人が使うことは保険適用外であり、国としての安全性・有効性は十分に確認されていません。

GLP-1作動薬は本来、血糖コントロールに問題がある患者のために作られており、
体内のインスリン分泌や胃腸の動きをコントロールする強い作用を持つため、低血糖・吐き気・下痢・便秘などの副作用が少なくありません。

国立国際医療研究センターの報告では、GLP-1製剤を肥満治療に使う場合でも、専門医による適切な診断とモニタリングが必須とされています。

【気になる副作用とリスク】

マンジャロやリベルサスを含むGLP-1作動薬には、次のような副作用が報告されています。

• 吐き気・嘔吐（約30〜50%）

• 下痢や便秘

• 食欲不振による栄養不足

• 胆嚢疾患のリスク増加

• 膵炎のリスク

• 低血糖（他の糖尿病薬と併用時）

特に注意が必要なのが「膵炎（すいえん）」です。
いくつかの研究で、GLP-1作動薬の使用と膵炎リスクの関連が指摘されています。
また、動物実験レベルでは甲状腺の腫瘍形成リスクが示唆されているデータもあり、ヒトでの長期安全性についてはまだ確立していません。

【海外の現状と最新研究】

米国などでは肥満を疾患として治療対象にしており、GLP-1作動薬は「肥満症治療薬」としても承認が広がっています。
一方、日本では肥満そのものは病気とは見なされず、あくまで生活習慣病のリスク因子として位置づけられているため、肥満だけを理由に薬を処方することは基本的に自己責任かつ自由診療です。

欧米の一部最新研究では「心血管疾患リスクの低下」「脂肪肝の改善」などの可能性も報告されていますが、
同時に「長期服用後に薬をやめると体重が戻りやすい」という報告もあり、薬だけに頼ると結局リバウンドする人が多いことが課題です。

【まとめ｜結局どうなのか？】

「楽して痩せたい」という気持ちは誰しもあります。
ただし、マンジャロやリベルサスは魔法の薬ではなく、医療用の糖尿病治療薬です。
体重を落とすこと自体は可能でも、副作用リスク・長期的な健康被害・リバウンドの可能性はゼロではありません。

日本肥満学会も「生活習慣改善なしに薬だけで体重を維持するのは現実的ではない」としています。
あくまで適切な食事・運動・生活習慣の改善が基本であり、そのうえで医師の管理下で必要とされる人にだけ使われるべきものです。

「とりあえず痩せたいから」と安易に個人輸入や無資格クリニックで処方を受ける前に、
本当に必要か、リスクとメリットを知っておきましょう。

薬に頼らず、「食べて動いて痩せる体質づくり」が結局は遠回りに見えて、一番の近道です。

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