「レプチン」というホルモンを聞いたことはありますか？

これは別名「痩せホルモン」や「満腹ホルモン」とも呼ばれ、食欲を抑えたり脂肪燃焼を促す働きがあると言われています。 つまり、レプチンがしっかり働いていれば、太りにくい体になるはず．．．なのですが、 実際には「肥満の人の方がレプチンの血中濃度が高い」 という逆説的なデータもあるのです。

「え、なんで？それなら痩せてるはずじゃないの？」

今回は、この“レプチンのパラドックス”とも言える現象について、論文や公的なデータをもとにわかりやすく解説していきます。

① レプチンとは？〜脂肪細胞から分泌される「痩せ指令」〜

レプチンは、1994年にアメリカのフリードマン博士らによって発見されたホルモンです。 脂肪細胞から分泌され、脳の視床下部に働きかけて「もう満腹だよ」「脂肪が十分にあるよ」と伝える役割を担っています。

つまり、レプチンが正常に働けば、

• 食欲が抑えられる

• 脂肪の蓄積が制限される

• 基礎代謝が高まる

といった「太らない体づくり」に貢献するはずのホルモンなのです。

② 肥満者の方がレプチン濃度は高い！？その理由とは

ところが、現実にはこの“痩せホルモン”が多く分泌されているはずの肥満者ほど、食欲が止まらなかったり、体重が減りづらくなる傾向があります。

その理由は「レプチン抵抗性」と呼ばれる現象にあります。

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の報告でも、肥満者の多くがレプチン抵抗性を持っていることが示されています。 つまり、レプチンが分泌されていても、脳がそれを「受け取れない」「反応しない」状態なのです。

これにより、

• 満腹感を感じにくい

• 食べ過ぎてもブレーキがかからない

• 脂肪が燃えにくい

という悪循環に陥ってしまいます。

③ なぜレプチン抵抗性が起きるのか？

主な要因は以下の3つが指摘されています。

▷① 脂肪の過剰蓄積

レプチンは脂肪細胞から分泌されますが、脂肪が多すぎると常にレプチンが高濃度で放出され続けます。 それが脳にとって「ノイズ」となり、反応が鈍くなってしまうのです。

これは、インスリン抵抗性と同じようなメカニズムです。

▷② 炎症と酸化ストレス

レプチン抵抗性のある人では、視床下部に慢性的な炎症が起きていることが確認されています。 脂肪組織に蓄積する炎症性サイトカインが、レプチンのシグナル伝達を邪魔しているのです。

▷③ 睡眠不足

スタンフォード大学の研究でも、睡眠不足になるとレプチンの働きが鈍り、グレリン（食欲増進ホルモン）が増えることが示されています 。 慢性的な睡眠不足はレプチンの効果を下げる原因にもなります。

④ レプチンを“効かせる体”に戻す方法

では、レプチン抵抗性を改善し、「痩せホルモン」の力を取り戻すにはどうすればいいのでしょうか？

以下の生活習慣がカギになります。

● 適正体重まで脂肪を減らす

レプチンが過剰に分泌されないよう、まずは脂肪量を減らすことが基本です。

● 高糖質・高脂肪の食事を控える

特に精製糖質や加工食品の過剰摂取は、炎症を招いてレプチンの働きを邪魔します。

● 質の良い睡眠をとる

毎日7時間以上の睡眠をとることで、レプチンとグレリンのバランスを整えることができます。

● 適度な運動を継続する

特に有酸素運動（ウォーキングやジョギング）には、レプチン感受性を高める作用が報告されています。

まとめ：出てるのに効かない「レプチン」に要注意！

痩せホルモン「レプチン」は、太りやすい・痩せにくい体質を左右する重要な鍵。

• 肥満者はレプチン濃度が高いのに、効果が出にくい

• レプチン抵抗性があると、食欲・脂肪燃焼がコントロール不能に

• 改善には、睡眠・食事・運動の見直しが不可欠

つまり、「レプチンが効く体」を取り戻すことこそ、ダイエット成功の近道なんです。

もし「食事制限してるのに痩せにくい」と感じているなら、ただのカロリーの問題ではなく、ホルモンバランスの崩れが原因かもしれませんよ。

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