ダイエットに挑戦する人の多くは、「もっと痩せなければ」「今の体型ではダメだ」という気持ちから始めます。 しかし、近年の研究やデータは、 自分のカラダを否定したままのダイエットは長続きしにくく、むしろリバウンドやメンタル不調を招きやすいことを示しています。 では、なぜ「受け入れる」ことが出発点になるのでしょうか？

1. 否定的な自己イメージはダイエット失敗の原因に

世界保健機関（WHO）の報告では、体重や体型に対する否定的な自己イメージは、ストレスホルモン（コルチゾール）の分泌を増やし、食欲のコントロールを乱すことが分かっています。日本の国民健康・栄養調査（厚生労働省, 2022年）でも、「自分は太っている」と感じる割合はBMIの実測値よりも高く、特に女性ではその傾向が強いと報告されています。
つまり、実際には痩せる必要がない人まで「痩せなきゃ」と思い込み、無理な食事制限をして挫折するケースが少なくありません。

2. 自己受容と健康的行動の関係

アメリカの心理学研究（Tylka et al., 2015）は、「ボディアクセプタンス（身体受容）」が高い人ほど、規則正しい食習慣や運動を楽しんで続けられると報告しています。逆に、身体への不満が強い人ほど短期間の極端なダイエットに走り、リバウンド率が高くなる傾向があると示されました。
日本でも女子大学生を対象とした研究（国立健康・栄養研究所, 2019）があり、自己肯定感が高い学生は「ダイエットのために食事を抜く」割合が低く、代わりに「体調を整えるために運動をする」といった前向きな行動選択をしていました。

3. ダイエットの第一歩は「今の自分を知ること」

「受け入れる」とは「現状を肯定して放置する」という意味ではありません。大切なのは、今の体を客観的に理解し、無理に他人と比べないことです。
例えば、日本肥満学会のガイドラインでは、BMIや体脂肪率だけでなく、血圧・血糖・脂質といった健康指標を総合的に評価するよう推奨しています。単に「見た目が太っている」ではなく、「健康にリスクがあるのかどうか」で判断することが重要です。

4. 心理的アプローチがダイエットを支える

最近注目されているのが「マインドフルネス」と「自己コンパッション（自分への思いやり）」です。
米国ハーバード大学の研究では、マインドフルネスを取り入れたダイエット介入により、参加者は過食の頻度が減り、食事満足度が高まったと報告されています。また、自己コンパッションを持つ人ほど「失敗しても再挑戦できる」傾向が強く、長期的な体重管理に成功しやすいと分かっています。

5. まとめ：カラダを受け入れることが成功のカギ

ダイエット成功の出発点は「自分のカラダを嫌いになること」ではなく、**「今の自分を受け入れたうえで、より健康に近づく行動を選ぶこと」**です。

• 否定から始めるとストレスとリバウンドに繋がる

• 受容から始めると運動や食事改善を前向きに続けられる

• 日本のデータでも「思い込みの肥満」が多く、無理な制限は逆効果

• 心理的サポート（マインドフルネス、自己コンパッション）が有効

ダイエットは「痩せること」だけが目的ではありません。心も体も健康に整えていくプロセスそのものが成功です。 だからこそ、まずは鏡の前で「今の自分も悪くない」と思えることが、本当の意味でのスタートラインになるのです。

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